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Posted by Dr.wakasagi on --.--

解説 雨宮淳司

Category : 企画倉庫
─ 編集情報 ─

 ▼2012年
 ▼竹の子書房 SF企画『スペース ハム+ハム』収録予定
 ▼解説 雨宮淳司


解説
                  雨宮淳司

 スラップスティック系の悶絶小説の名手と、実話怪談界の新鋭によるSF小説の競作二篇をここにお贈りする。
 何でそんな組み合わせなのかとか、「どうしてSF?」といった問いは、私にもよく分からないので答えようがなく、無為である。
 きっと何かの「ノリ」なんだろう。書きたいから書いたのだ。
 何かが生まれる時というのは、得てしてそんなものだし、書いてしまったものは仕方がない。
 だが、書かれてしまったものには結構意味がありそうなので、少し敷衍してみよう。

 SF小説というのは商業ベースにおいて「とにかく売れない」という、あられもない理由で現在下火になってしまっている。
 だが、ご存じのようにかつては厚い読者層を獲得した、絢爛たる黄金期があった。
 本屋では現在時代小説が占めている棚に、ほぼ同じくらいには詰まっていたのではないか。
 その遺産は、よく言われるように拡散・浸透して、ライトノベルやホラー・伝奇もの、ファンタジー小説などのベースに脈々と生きている。
 しかし、生きてはいるのだが、現実においてのネット社会の進展が大抵のSF小説を古臭いものに感じさせる効果をもたらしたがために、原典は敬遠されてしまっているようだ。
 新しい作品のほとんどは時代を現代にもってきた上で、SF的概念を切り貼り的に出しているように感じる。
 いきなり冒頭から宇宙船の中だったり、異星人視点だったりすることは、まず無い。あったとしても、萌え化した邪神やゾンビだったりするのである。
 そんな中、短編とは言え生粋のSF小説の新作が出てくるというのは、昨今珍しいことなのではなかろうか。
 もちろん本道の日本SFの流れはあるし、傑作も生まれているのは知っている。だから最初に述べたように、畑違いの作家が書いたことに意味を見いだしてほしいと思う。

 ●君の目覚まし時計は音が大きすぎる

 これは、どう見てもトム・ゴドウィンの「冷たい方程式」の系譜に属するものであるだろう。
 恒星間豪華客船ルミナス号が遭難し、救援の手も間に合わないような深淵の宇宙空間に孤立する。
 乗組員と乗客達の選んだ方策とは。
 主人公、客船乗務員のクロエ・バゼーヌが何に対してひたすら心を砕いているのかを知るとき、ふわりと懐かしい宇宙SFの芳香が漂う。
 それは宇宙に生きる人類の覚悟とでも言うべき、かつてあったSFの文脈の裏の共通思念である。

 ●スーパー・ウェディング

 あの「ジキル博士とハイド氏」以来、延々と語られてきた性格改造あるいは知的能力増強の物語は、ここにきて最も人間界において曖昧なものに手を掛けた。
 それは「愛」。
 愛情の固定化が何をもたらすのかという、まともに考えたら脳味噌が沸騰しそうなアイデアを、この作者は見事に捻って打っちゃってしまう。
 主人公が最後に到達した心境というのは、諦観を越え、自己犠牲を越えた凄絶なものではなかろうか。
 その辺りを、怪談作家が何でこんな風に書けるのかさっぱり分からない、欧米SF風の乾いた文章と一緒に味わわれてはいかがだろうか。


 SFの既出アイデアというのは、推理小説のトリックと同じく、もはや調べるのも困難である。
 だから、この二作品に似た作品がかつて存在した可能性がないわけではない。むしろ、あれだけ競っていた時代に、出ていないわけがないと正直思う。
 だが、この考え方が間違いなのかも知れない。――新しいアイデアに重きを置きすぎた。それが、SF全体の衰退を来した要因だったのかも知れないからだ。
 アイデアの上では、二巡目でも三巡目でもいい。もっと、こういった個性的な味わいの作品が現れてくることを願ってやまない。
 それらの底上げがなければ、きっと全体での収穫は乏しい。
 そもそも、あの黄金期のSF作品群でさえも「90パーセントはガラクタ」であったはずなのだから。
 そして、いま心に留まっているのは、むしろそのガラクタ達の方なのである。

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Posted by Dr.wakasagi on 31.2011

プロフィール

Dr.wakasagi

Author:Dr.wakasagi
氷原公魚と申します。
引退した物書きですが、電子書籍作家として絶賛復活中。
電子書籍製作集団『竹の子書房』
第一製作部ラノベ課に所属しております。

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